バブル崩壊以降から現在までの日本経済が衰退しっぱなしの時期を、「失われた30年」と呼ばれているのをよく聞きます。
バブルの原因は「土地価格は永久に上昇し続ける」という土地価格神話が原因であるとよく言われています。本当にそれだけでしょうか、経済学に全く素人の私ですが少し調べてみたいと思います。
1.何がどの程度30年間で失われているのか
まず、どの程度衰退しっぱなしなのかをGDPおよび我々に身近な賃金の伸び率を主要国間の比較で見てみましょう。
まず、GDP
下図は先進主要国の1990年~2021年のGDP伸び率の比較です。1990年を100とした場合のGDPの変化を表しています。
尚、実質GDPとは名目GDPに物価変動を加味したものです。
このグラフから国全体の実質GDPの伸びではアメリカは30年間で約2倍に対し、日本は約1.3倍に留まっています。一人当たり実質GDPでもアメリカは約1.6倍に対し日本は約1.2倍に留まっています。
次に国民一人当たりの賃金について見てみます。
下のグラフは主要先進国の賃金の伸び率を表しています。1991年から2020年までの移り変わりです。1991年を100とした推移です。
左のグラフは実際の名目賃金、右側は物価変動を加味した実質賃金です。
出典:内閣府ホームページ
右側の物価上昇率を加味した実質賃金では、アメリカは30年間で約46%の伸び、日本はたった約3%の伸びです。日本人は30年間殆ど賃金が上昇しない間に、アメリカやイギリスの賃金は約1.5倍になったという訳です。もし物価上昇を加味しなければ、アメリカやイギリスは約2.7倍になった訳です。
日本人の賃金がこの30年間で上昇しておらず、生活水準が上昇していないことは多くの方々が実感として感じておられるのではないでしょうか。
一方、日本の賃金が安いということは、優秀な研究者や技術者の海外頭脳流失を引き起こし、日本の技術停滞又は低下を招きます。
逆に海外の優秀な研究者や技術者、更に労働者にとって、日本の低賃金は魅力がなく、技術の向上、労働力の確保の両面でマイナスの影響を及ぼしてしまいます。
これは負のスパイラルを引き起こしていることも考えられます。 では、次回はバブルとは何か、またその歴史を見てみたいと思います。
コメント
第1回について
2012年頃は商売人をしていました。その頃まで、政府や政治家は、日本は安定的成長期に入ったとか横ばいとか発表していました。住宅メーカーや当社は下降して下がり続けていました。そして、野田総理が8%セント消費税に上げて完全に消沈しました。私は商売を辞める時期を考え始めました。又その頃迄賃金の世界比較はなく発票もなかったです。私は少なくとも知りませんでした。官僚と政治家は信用しません。